2015年8月30日日曜日

果てしない記録の旅



民映研フィルム作品紹介No.46 山人の丸木舟

【民族文化映像研究所フィルム作品紹介】No.46山人の丸木舟1984年/32分/自主制作新潟県岩船郡朝日村奥三面(作品解説) この作品は、奥三面(おくみおもて)の生活技術をまとめた短編集の一編である。 奥三面は、広大な朝日連峰から流れ出る三面川の河岸段丘上にある。集落の足元を流れる三面川を渡って、人々は田畑を耕作し、山へ入って山のものをとって暮らしてきていた。その川をめぐる生活に舟は不可欠であり、共同作業で丸木舟を作って共有物とした。第二次大戦後、橋がかけられ、舟は作られなくなった。これは、舟作りの経験者、高橋利博さんと若い小池昭巳さんが行った舟作りの記録である。 丸木舟は3、4月の堅雪の季節に奥山で作られる。材はセン、トチ、ナラがよい。今回は樹齢二百数十年のトチを使った。伐り株にはシバを立て、山の神へのあいさつをする。舟打ち(舟作り)作業は木を伐り倒した場所で行われる。まず、船底を決める。船底には材の北面部分、年輪の密度の高い部分をあてる。次に、舟の上面部分をはつっていく。ヨキでV字型に溝を切り込んでは横からクサビを打ち、剝がしとるオビラキとよぶ方法である。奥会津の木地師の椀の荒型をほり出す技術や、江戸時代の絵図に見られる樵夫の技術と共通するものである。舟の内側を刳る中ぼりや、外側側面を剝がすハンバキ落とし、船底をとる底どりもオビラキの方法で行われる。そして舟ばたを仕上げる。集落から遠い雪山で10日余、全長5m58cm、最大幅62cmの丸木舟が完成した。 村の男たちが大勢出て舟おろしをする。重い丸木舟を、雪の上を滑らせて運ぶ危険な作業である。この年の夏、奥三面で行われたセミナー「奥三面に学ぶ -日本の山地自然と山村文化を見直そう」(民映研主催)で、舟ははじめて三面川に浮かべられたのであった。 山の生活者たちが舟を作る。これは奥三面だけでなく、下北半島のマタギの村などでも行われていたことであった。舟の歴史を考えるうえでも見落とすことのできないものである。*****************映像でもわかるとおり、この作業はチェンソーなど電動器具を使用し行った部分もございます。上映貸出用DVDのお問い合わせは、民映研メール minneiken@alpha.ocn.ne.jp or 070-6565-2305まで#民映研作品紹介ムービー

Posted by 民映研 on 2015年8月29日

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